色に奪われる世界

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◆◇◆◇ 「次は僕の番だね」 「ちゃんと3つ取るんだよ」 「分かってるよ、うるさいな」  そう言って、紙袋に小さな手を突っ込み、中からとげとげした小さなものを取り出した。 「えっと、黄色に赤に黒だ」 「黒なんてあるんだね」 「そうだね、黒い【金平糖】、何か不味そうだね」 「ちょっと~、これから食べるんだから、そんなこと言うのやめてよ」  「ごめんごめん。きっと黒いのは黒糖だから、不味くはないと思うよ。じゃあ行くよ、ヨーイドン」  その合図を聞いて、金平糖を袋から取り出した子どもが、一気に3つとも口に放り込んだ。それと同時に、合図を出したもう一人が地図帳を広げて、何かを探し始めた。 「あっ、見つけた。ドイツ、ドイツだ」 「ちょっと待って、まだ飲み込めてない」、ごっくん、「見せて、本当だ。黒に赤に黄色だね。それにしても、今回の3つはまずかったよ」 「最悪の組み合わせだったのかもね。さて、今度は何色にしようかな」  たくさんのクレヨンが並んだ入れ物から、黄色のクレヨンを手にとって、地図上のドイツを中央から外側に、丁寧に塗りつぶしながら口を開く。 「さっきの赤と白の時は美味しかったよ。残念だったね」 「くそ、次は絶対に国旗にない色の美味しい組み合わせで引いてやる。それか、国旗探すより早く、食べ終わってやる」  少しすると、地図上のドイツの場所は黄色に塗り潰されていた。 「塗り終わった」  ドイツでは、突如、国の中央に現れた黄色の空間が少しずつ国全土を覆っていき、今では黄色い空間があるのみとなっていた。 「よし、じゃあ、次の勝負をやろうよ」 「これで勝負をつけちゃうぞ」  紙袋から手を抜き、取り出した金平糖を確認する。 「赤が2つと白が1つだ。これは、美味しい組み合わせだったよね」  創造主たちの暇つぶし。  創造主が次に口にした国は、「日本」 了
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