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ところが、日本国内で手術件数を増やすには大きな障害があった。それは、手術法が確立されても、肝心の移植すべき臓器が圧倒的に足りていない現状だった。
そこで、僕は手元に舞い込んできた巨額な資産を投じて、未分化細胞を用いた培養臓器ファームを設立した。すでに試験管レベルでの臓器の再現に成功していたこともあり、国家プロジェクトとして、僕の臓器ファームで日本中の優秀な医師や技術者が研究を続け、やがて人間のほとんどすべての臓器が作成できるようになった。これでまた、多くの人間を助けられると思っていた。
培養臓器の作成成功に伴って、臓器移植の件数も増加の一途を辿ったが、後に培養された臓器では、僕の確立した手術法によってアレルギー反応はでないものの、他の臓器との協調的な働きに不具合が発生するケースが出ることが分かった。
臓器を単独で培養している環境では、他の臓器との協調的な働きについての経験がなく、成長が乏しいことが推察された。やはり、生体間移植などの人間同士での臓器移植でないと、うまくいかないのかと悲嘆にくれた。
もっと、もっと人間を救いたいのに……。そんな時、僕のこれまでの実績もあってか、僕のそんな願いに対して国が動いてくれたのだ。
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