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「私には双子の詩音という姉がいたけれど、0歳の時に亡くなっているよ!」
と私が伝えると詩音が、
「もちろんそれも知ってるよ!」
という答えが返ってきた。
「凛音、貴方は何か悩んでいるようで、私はいてもたってもいられなくなったんだよ!
だから私は凛音に会いに来たんだよ!」
と話してくれた。
「凛音、貴方は人見知りが激しくて、なかなか友達ができなくて悩んでいるよね!」
詩音の的確な指摘に私は、
「うん、そうだよ!」
と正直に答えた。
私は小学校の頃に仲間外れにされたことがあって、その頃から友達に話しかけることが怖くなっていること、友達から話しかけられてもそっけない態度を取ってしまう自分がいることを正直に話した。
私は小学校、中学校、高校であったできごとを正直に全て話すと、詩音はすでに知っていると言わんばかりに私の話を真剣に聞いてくれた。
全てを話し終えると私の心の中の重荷が、少し軽くなったような不思議な感覚を覚えた。
「凛音、今私に話したように何でも正直に友達に話してごらん!
きっと凛音の話を聞いてくれる友達が現れると思うよ!
1つだけ言っておくけど、絶対に嘘はついてはいけないよ!」
詩音は私にこんなアドバイスをしてくれた。
私は嬉しくて、目から涙がこぼれ落ちた。
「凛音なら大丈夫だよ!」
と詩音は笑顔で私の肩を抱いてくれた。
詩音と一緒にいた時間はとても短く感じて、いつの間にか夕刻になっていた。
「そろそろ帰ろうか?」
詩音が声をかけてくれたので2人とも立ち上がって、私はトンネルがある方向に歩き始めた。
詩音は私の後について来ていると思っていたけれど、少し歩いてから詩音の気配を感じなくなったことに気が付いて後ろを振り向くと詩音の姿がなくなっていた。
私が思わず、
「詩音」
と呼んでも辺りは静まり返っていた。
私は少し不安を感じながらトンネルを抜けて、自転車で自宅に帰った。
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