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卒業式
ついに卒業式。楽しかった中学生ももう終わり、私たちは高校生になる。
みんな、卒業が悲しくて泣いている。だけど私は泣かない。だって、別々の道を行っても私たちはまた会えるから。
「以上、卒業生27名」
卒業証書を手にすると、ますます卒業の実感がわく。私の仕事も一つ終わって、いよいよ最後の仕事になった。
私が緊張していると、時間はあっという間にすぎる。来賓紹介にお祝いの言葉とか、時々懐かしい人の名前が出てきた。
「卒業生代表の言葉……」
きた、私の最後の仕事。私は名前を呼ばれて、元気よくイスから立ち上がる。
そして、私はステージを目指して体育館をゆっくりと歩く。
一歩、また一歩と進むたび、体育館の思い出が頭にあふれる。入学式、全校集会、合唱コンクール。他にもいっぱい、いっぱい思い出がある。
まるで走馬灯のように、私はたくさん思い出した。すると、やっぱり涙が出そうになる。でも泣かない。だってまた会えるから。
私はグッと涙をこらえて、やっと登壇する。同級生はみんなうつむいて悲しそう。私の大切な後輩もやっぱり泣いている。
泣かないで。そう言ってあげたいけど、今は卒業生の代表として喋らないと。私は胸から紙を取り出して、すうっと大きく息を吸う。
ヒーターに負けないくらい大きな声で。ドキドキの心臓に負けないくらいゆったりと。私はハキハキと丁寧に読み上げる。
私たち28人の想いを、私は代表して喋る。在校生に先生に保護者に、みんなの想いをたくさん伝えた。
私は読み終えると、小さく息を吐いてお辞儀をする。これで大きな仕事は終わり、みんなありがとう。
また会おうね。
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