くるまの一生

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 毎月第二火曜日は、カオリさんが通院する日だ。  カオリさんは決まって朝一番の診察を目指して出発する。  僕はそれに間に合うよう、ほとんど花を落とし切った桜の木の下で、今日もカオリさんが出てくるのを待った。 「いつも朝早くからごめんなさいね。年寄りは目が覚めるのが早いのよ」  謝る必要のないことを謝りながらカオリさんは、診察券入りの巾着袋片手に僕に乗った。  周囲の安全とカオリさんの体勢に問題がないことを確認し、ゆるやかに出発する。  規則正しい生活を送るカオリさんの体重が急に増えたはずもないのに、今日は走り出しが重苦しく感じた。  毎月走っている道だから懸念はないだろうと、自分を鼓舞しながら進んでいく。  しかし病院の敷地に入り、あと少しで正面玄関の前に着くところで、急激に体の自由が利かなくなった。 「ちょっと、大丈夫!? 誰か、助けてください」  慌てて僕から降りたカオリさんが必死に助けを呼ぶ声が、遠く聞こえる。  カオリさんの足として働く僕が、カオリさんの足手まといになっていることが情けなかった。
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