強引な明るさで前進を

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 そう、ロッテはまだ聖女と認められてない存在で。力だって自分の思う通りに発揮出来ない、そんな状態で神殿に入れてもらえるわけがないのに。全部分かっていて、アンネマリーはロッテを揶揄っているのだろう。  真面目な姉ならば、そう言われれば余計に己の無力さに悩み苦しむはずだと。 『可哀想なシャルロッテ、でも残念。もっと……もっと辛く惨めになってね、私のために!』 「アンネマリー!?」  一気に強い風か吹き、周りの木々が唸るような音を立てる。噎せかえるような香りはますます濃くなって、頭がクラクラするようだった。その中でアンネマリーの笑い声だけが響き渡り、ロッテは思考を奪われるような感覚に陥って…… 「しっかりするんだ、ロッテ!」  ロッテの異変に気付いたレーヴェが、彼女の肩を掴んで声を掛ける。それによって意識を取り戻したロッテが目にしたのは、腕から血を流しているレーヴェと頬を叩いているアゼルの姿だった。  意識を失いかけたのは全員だった、しかしまた自分が足手纏いになっている。それが申し訳なくて、せめて傷を治そうとしたのだが…… 「今はまだダメだ、痛みでも意識を保っていなければあの女の思うつぼだろう。それよりロッテには頼みたいことがあるんだ」 「え? もちろん、私に出来る事なら何でもするわ!」  ロッテがすぐに頷く。するとレーヴェは、少し後ろでいまだに頬を抓ったり叩いたりしているアゼルに声を掛けた。
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