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予想しなかった出会い
「……はあ、またか」
そんな誰かの呟きが聞こえる気がした、だが疲れ切った身体は重くてシャルロッテは指一本動かせない。すぐにそんな事はどうでもよくなって、また深い夢の中へと落ちていった。
……ああ、温かい。こんなに温かいのはいったい何年ぶりくらいかしら?
昔は夜になると彼女の父がこうして優しく抱きしめてくれ、それだけで朝が来るのが楽しみだったのを思い出す。
大きくなってシャルロッテが一人で寝るようになっても、時々アンネマリーが甘えて彼女のベッドに潜り込んできて抱き着いてきたりもした。
彼女が身体に感じる温もりに懐かしい思い出を重ねていると、すぐ傍からため息が聞こえてきた。
「全く吞気な奴だな、こんな状況でぐうすか寝ていられるなんて、本当に年頃の娘なのかよ?」
それは聞き慣れない男性の声。一瞬で頭は覚醒したのだが、シャルロッテは自分が置かれている状況を見て思わずパニックになる。彼女が家族だと思って抱きしめていたのは見たこともない男性……しかもその相手は、ほとんど服も着ていなかったのだから。
「きゃあああああっ! だっ、誰なの? 貴方は。ここは私の……!」
シャルロッテは自分の部屋だと言いかけて思い出す。ここが今まで暮らしてきたファーレンハルトとの家でなく、辺境地のオンボロ屋敷だという事を。
でもここは彼女の療養のために用意されていた屋敷のはずだ、使用人がいるとは聞いたがこの男性がそうとはとても思えなかった。
それなのに……
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