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「どのくらい時間がかかるか分からないのを待てるほどの余裕はないな。俺とロッテは先に王都に向かう事にする、後は頼めるだろうか?」
「ふん、年寄扱いするんじゃない。その聖女が偽物だという確証が掴めたら、お前たちがどこにいてもすぐに知らせてやるさ」
どうやって? とロッテは思ったが、レーヴェはその老婆の言葉に納得しているようなので黙っておいた。二人にはロッテには分からない信頼関係があるようだったし、魔女と呼ばれる老婆の力も予想がつかなかったから。
「それじゃあ、時間も惜しいし昼食にしよう。婆さん、アンタも食べるだろ?」
「ああ、ちょっと待ちな。アタシが朝に作った薬草のスープを出してやろう」
「うわっ……」
バスケットを取り出し大きな木のテーブルに置いたレーヴェが老婆を誘うと、彼女はヨタヨタと奥のキッチンへと向かっていく。薬草のスープがどんなものかは分からないが、レーヴェの反応からするにあまり美味しいものではなさそうだ。
「さあ、お食べ。この薬草のスープは身体の調子を整えて、治癒力を高める効果もある。味は……ちょっとだけイマイチだがね」
「……これはちょっとだけ、とは言わないだろ」
そういうのも分かる気がするとロッテは思った。出されたスープはドロドロとして濃い緑色をしている。匂いも結構強烈で、飲むにはそれなりの覚悟が必要な気がした。
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