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「レーヴェ、大丈夫?」
「だ、大丈夫だ。こら、婆さん! いきなりなんとこと言うんだ、俺とロッテは別にそういうのじゃ……」
そういうのとは? ロッテはそう聞こうと思ったが、レーヴェは顔を真っ赤にしててそれどころではなさそうだ。老婆はそんな彼の様子を見て意地悪そうな笑みを浮かべている。
「おや、図星のようだね。数年前はクソ生意気なガキだったアンタのそんな顔を見られるとは、長生きはするものだ。ヒヒッ」
なおも揶揄うように老婆はレーヴェに向かってそう言った。もしかして二人はかなり長い付き合いなのだろうか、彼女は昔を思い浮かべるように懐かしそうな顔をして見せる。
「こ……このババア、いい加減に!」
「お、落ち着いて⁉ レーヴェ」
いつものレーヴェからは想像もできないような乱暴な言葉遣い、ロッテは驚いて必死で彼を宥めようとした。だがレーヴェを怒らせた張本人の老婆は何食わぬ顔で食事を再開している。
もしやこれも割と慣れた光景だったりするのだろうか? 戸惑いながらロッテが老婆とレーヴェを交互に見ていると……
「気にしなくていいよ、お嬢さん。その子は昔からヤンチャで反抗的だった、今更その程度じゃアタシはビクともしないよ」
「……そう、なんですか?」
そう言われてもいまいちピンとこないが、彼を子供の頃から知っているという老婆が言うのだからその通りなのだろう。
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