498人が本棚に入れています
本棚に追加
「……っつ!」
「ほら、危ない。 もう限界だろう、そろそろ休むんだ」
石を跨ごうとして足を滑らせ転びかけたロッテを、レーヴェが素早く支えてその場に座らせる。彼女がもう立っているのもやっとな状態であることは明白だ。レーヴェとしては素直に休んでほしかったのに、ロッテはなかなか首を縦には振らなかった。
「まだ行けるわ、早く山を越えて王都に向かわないと。このまま夜になってしまえば、明日の朝まで動きが取れなくなるんでしょう?」
「それはそうだが、君だって分かってるはずだ。これ以上無理をしても、効率が悪くなるだけだって」
レーヴェの言うことはもっともだが、それでもロッテはまだ頷こうとはしない。自分が足手纏いになっている自覚があるからだろう、足を引きずるようにして彼女はまだ歩こうとする。
そんなロッテにレーヴェは少し厳しめな顔をして彼女の前に出る。
「ロッテが無理をして倒れたら困るのは俺なんだ、何のためにここまで君を連れてきていると思ってる?」
「それは……」
きつい事を言わなければきっとロッテは休もうとしないだろう、レーヴェは心を鬼にして一番ロッテがいう事を聞くしかない言葉を選んだのだ。
彼の予想通り、ロッテは何か言いたそうにしていたが諦めてその場に腰を下ろす。そんな彼女を見てレーヴェもやっと一安心したのだった。
最初のコメントを投稿しよう!