進む道と新たな仲間に

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「とりあえず今夜休めるような場所を探してくる、ロッテはここで待っていてくれ」 「ええ、気を付けてね」  今いる場所はあまりにも坂が急すぎて、ここで休むことは難しい。これ以上は歩くのも辛そうなロッテを、彼は少しでも安全な場所へと移動させたかったのだろう。  そんなレーヴェの後ろ姿を見送りながら、また迷惑をかけてしまったとロッテは申し訳なく思っていた。 「どうすれば、レーヴェに役に立てるのかしら……」  聖女の力を自分の思い通りに使えれば話は別だが、ロッテはまだその能力を扱い使いきれてない。それどころか治癒能力以外にどんなことが出来るのかも分からないのだ。  歴代の聖女たちは皆、その能力や現れ方に違いがあった。だからこそロッテも周りの人たちもアンネマリーが聖女の力を顕現したのだと信じて疑わなかったのだ。 「早く、出来るようにならなきゃ。レーヴェやみんなのためにも」  そう考えて手のひらに力を込めてみるが、何も変化は起こらない。あの時だって傷付いた刺客の男を助けなければと思って、必死で神に祈っただけ。どうすればいいのかなんて、分かるわけもなく。  思うようにいかなくてロッテが小さな溜息をつくと、その背後から微かに足音のようなものが聞こえてきた。 「……レーヴェ?」  その存在を確かめるように、咄嗟に声をかけたのが良くなかった。
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