強引な明るさで前進を

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「ところで、アゼルはどうやってこの場所を突き止めたの? さっきの人たちは香炉を使ったと言っていたけれど、貴方もそうなの?」  アゼルと出会った屋敷からここを特定するのは容易ではないはず、それなのに丁度良く現れたことがロッテも不思議だった。レーヴェも疑問に思っていたため、彼も野営の準備をしながら二人の話に耳を傾けていた。 「いいや、俺は自力で探したぜ? こういう仕事をやっていれば、検問なんかも出来るだけ避けて通るからな。自然と裏道にも詳しくなるし、後はそうだな……いわゆる長年の勘ってやつだ」 「長年の勘というより、お前の場合は野生の勘だろ」  自信満々といった様子でそう話したアゼルに、レーヴェが容赦ないツッコミを入れる。そんな二人の会話にロッテは思わず吹き出しそうになってしまう。  何かとアゼルの言うことに突っかかっているレーヴェだが、もしかしてこの二人は意外とノリとツッコミで相性がいいのかもしれない。 「ああ、俺ってば野性的な魅力もあるのか。罪な男だと言わないでくれよ、レーヴェ」 「……酷い頭痛がしてきた」  アゼルの超が付くほどのポジティブ思考に、レーヴェはまたも頭を抱えている。真面目なレーヴェにとってアゼルとの会話は頭痛のタネになるのかもしれないと、ロッテは二人を見て困ったように笑っていた。
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