強引な明るさで前進を

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「ロッテが本物の聖女だという事は俺にも分かる、だがどうやってそれを王や王宮の人間に証明してみせるつもりだ? まず王宮どころか王都にだって入れるか分からない状況なのに」  山で野宿の準備を終えて、火の傍にロッテとレーヴェが少し離れた木の根元にアゼルが座っている。  アゼルの疑問ももっともだが、レーヴェにもそれなりに考えながら行動はしている。 「王都にさえ入れさえすれば、王宮内に侵入する方法は俺もいくつかは知っている。ただ面倒事を避ける意味で、検問を通りたくないだけだ」 「確かに今回の検問は変だったな。誰を探しているのか、どんな人物なのかも全て伏せて。ただ聞いた話では二十歳前後の娘が引き止められることが多いらしい」  そう言ってアゼルはチラリとロッテの方を見る、彼も検問を行っている理由がロッテを捕まえるためだと気付いているようで。自分の命を助けてくれた少女が、悪人のように捕まる姿など見たくない。アゼルは何としてでもロッテを王都へ連れて行こうと誓った。  それと同時に、レーヴェの方も気にかかる。初めて出会った時、名前を聞いた時に何かが引っ掛かった気がしたのだが。  ゼーフェリング国の王宮は警備が強固であることで有名なのに、どうしていくつもの抜け道を知っているのか? そこまで聞けるほどの信頼関係は築けていないため、アゼルも問い詰めはしなかった。
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