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ようするに城を制したグループが、町内で我が物顔ができる、ということらしい。
「やっとわかってきたようだな」
雨太郎がニヤリと笑う。三条はチェシャ猫を連想する。たしか『不思議の国のアリス』も夢オチだった。
「でもなんだって、雨太郎がみんなを引き連れているわけ?」
「それはおれの存在理由を確立するためさ」
ネコの口からアイデンティティなどという単語が出てくるとは思わなかった。
「この町に流れてくる前、おれは保護センターにいた。そのセンターで保護してもらわなかったら、おれは命を落としていただろう……」
そう言って雨太郎は語りだした。
おれは、以前、高齢の男性に飼われていた――。
おれだけじゃない。何匹も仲間がいた。
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