10人が本棚に入れています
本棚に追加
「はいっ、敵の数、およそ百匹。我が方の倍です。士気も高く、猛者も多く見受けられました」
「うむ、あいわかった。下がってしばし休むがよい」
「はっ」
黒ネコは下がった。
「やはりそう簡単には攻め落とせそうにないな……」
空を見上げ、雨太郎はつぶやく。
「どうするの?」
敵は百匹、こちらは五十匹あまり。まともにぶつかっても勝てる見込みはないのに、ましてや城攻めである。古来、城攻めは敵の数倍の兵力で当たらねば成功しないとされている。常識的に考えて勝算はない。
「ここで投げ出すわけにはいかない。たとえ勝利の確率が低かろうと、精神力で打ち破るまでだ」
「あんた、バカなの?」
三条はあきれて思わず言っていた。わざわざ偵察した意味もない。
「バンザイ突撃したところで、全員枕を並べて討ち死にするのがオチよ。城を陥落させるなんて不可能だわ」
「しかし……」
「要はあの城を占拠すればいいのでしょ?」
三条は声のトーンを落とした。
「策を講じましょっ」
最初のコメントを投稿しよう!