雨太郎、過去を語る

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「はいっ、敵の数、およそ百匹。我が方の倍です。士気も高く、猛者も多く見受けられました」 「うむ、あいわかった。下がってしばし休むがよい」 「はっ」  黒ネコは下がった。 「やはりそう簡単には攻め落とせそうにないな……」  空を見上げ、雨太郎はつぶやく。 「どうするの?」  敵は百匹、こちらは五十匹あまり。まともにぶつかっても勝てる見込みはないのに、ましてや城攻めである。古来、城攻めは敵の数倍の兵力で当たらねば成功しないとされている。常識的に考えて勝算はない。 「ここで投げ出すわけにはいかない。たとえ勝利の確率が低かろうと、精神力で打ち破るまでだ」 「あんた、バカなの?」  三条はあきれて思わず言っていた。わざわざ偵察した意味もない。 「バンザイ突撃したところで、全員枕を並べて討ち死にするのがオチよ。城を陥落させるなんて不可能だわ」 「しかし……」 「要はあの城を占拠すればいいのでしょ?」  三条は声のトーンを落とした。 「策を講じましょっ」
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