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三条の作戦
城のなかでは決戦の気合が高まり、戦いが始まるのを今や遅しと待ち構えていた。
総勢百匹。万が一にも負けることはない。敵を押しつぶせ、と鼻息が荒い。
「虹丸! 誰かこちらにやってくるぞ」
そんなとき、大将のもとへ知らせが入ってきた。
「敵が攻めてきたか……?」
「いえ、それが、単独です」
「フン! 勝てぬと恐れをなした敵が降参の使者を送ってきたか……。腰抜けめ」
一団を率いる大将である茶トラの虹丸は、侮蔑をこめて言い棄てた。
「城内に迎えてやれ」
「はっ」
バリケードに設けられた堅牢な門が開かれ、一匹の三毛が駆け込んできた。
「助けてくださいまし」
虹丸のもとへと案内された三毛は、震えながら訴え出る。
「どうしたというのだ?」
虹丸は、どうも降参の使者ではないようだと、思惑が外れて鼻白む。
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