春の夜はまだ寒く

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 警察官を前に、先野はつい饒舌になる。そこが余計に怪しく映る。 「それはけっこうなことですな……」  警察官は咳払いし、 「ところで最近、このあたりで不審者を見かけるという情報もよせられています。 くれぐれも注意してくださいよ」  その不審者はおまえだ、と先野を見る目は言っていた。  そこへ――。 「あれぇ? 先野さんじゃないですかー」  どことなく間の抜けた声がした。振り返るとそこにいたのは――。 「原田翔太(ハラショー)、なんでここに? それに三条さんまで」  男女の二人連れであった。  一人は原田翔太、二十三歳の入社間もない青年。通称、ハラショー。  そしてもう一人は三条愛美(さんじょうまなみ)、二十七歳の成績優秀な若手のホープ。  ともに先野の同僚の探偵である。
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