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ニャア
そこへ一匹の三毛ネコがひょっこり現れた。後ろ足に怪我をしている。――マロンだ。
「おまえは雨太郎といっしょにいたいんだよね」
「そうなんですか?」
原田は、なんでそんなことがわかるのか、といった口調。
「まずは飼い主に報告です、行きましょう、原田くん。マロンもおいで」
雨太郎を抱きながら歩く三条の後ろをついていく三毛ネコを、
(マロンだって……?)
と、不思議そうな顔で見る原田であった。
☆
先野光介がさがしていたネコも同じ朝、家に戻っていた。ネコ用に設けた出入り口を勝手に通ってリビングに作っていた寝床に入っていたのだ。
早朝にもかかわらず、飼い主である婦人は先野に連絡してきた。
駆けつけると、
「おかげさまで戻ってきましたよ。ありがとうございました」
玄関先で礼を言う飼い主の腕には、茶トラのネコが抱かれていた。
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