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毎日のようにこうして泣いて、わたしからの答えを求めてくる。 それは娘がOKというサインを出すのをずっと待っているからだ。 子供のためだけに夫婦という形を壊さず続けてくれている現在。 だからわたしさえ良ければ母親にも自由がくる。こんなふうに泣くことだってない。 「お母さん、もう少しだけ頑張れない…?」 「…がんばる、つもりだった…、けど、もう無理よ、」 「そっか…、わかった。うん、…もう、いいんじゃないかな、」 「…お父さんとお母さんが離婚したら…志帆は、」 「わたしはお母さんのほうに付くよ」 本当は、離婚なんかして欲しくなかった。 わたしだってこんなこと言いたくなかった。 だけどわたしはずっとずっと、あなたから夫に対する不満や愚痴をいつも聞いていて。 いつも相談に乗っていて、これは娘のわたしがすることじゃないって分かっていたとしても。 それでも彼女にはわたししか頼れるあてがないから。 本当はわたしが高校卒業するまで、せめて家族という形を壊さないで欲しかった。 今はまだ中学卒業前だ。 でも仕方ない、仕方ないね、こればっかりは。 「ありがとう……っ、ごめんね志帆…、」 「…ううん、」 これはわたし自らが“カウンセラー”となってしまった結果だった───。
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