まわす、まわす。

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 話は、半年ほど前に遡る。 「何で、今更コーヒーカップ?」  僕は首を捻った。  此処はみなぶち遊園地。某県某所にある、言ってはなんだが相当寂れた遊園地である。僕はその従業員だった。  周囲を森に囲まれており、一番近いホテルからも自動車かバスを使って来るしかないような辺鄙な場所。客足も落ちて来たし、新規一転もかねて新しいアトラクションを作ろう、と考えたところまではわかる。その予算どっからひねり出したんだ、というツッコミは入るけども。  問題は、何で作るのがコーヒーカップなのかということ。  みんなは、どうせ作るならお化け屋敷あたりでしょ、と考えていたというのに。わざわざ隣の空き地を買い取って作るのがアレというのは謎でしかない。 「みんながお化け屋敷がいいつったからさー」  オーナーは何故かにやにやと笑いながら言う。 「なら、普通のお化け屋敷作っても面白くないじゃん?」 「いや、確かにありがちなお化け屋敷じゃ人は呼べないと思いましたけど」 「だからコーヒーカップなんだって。子供も油断して遊ぶような、遊園地の定番、平和なアトラクションだろ?」  これがやってみたかったんだ、と彼の眼が言っていた。 「それにな。……幽霊が出るって噂をあえて流すんだよ」
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