プロローグ

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プロローグ

 俺は温かく心地良い空間に身を任せ、ぷかぷかと浮かんでいた。  遠くの方では誰かの話す声がぼんやりと聞こえる。  その時だった。 『これから産まれゆくその魂……其方(そなた)の力が必要となる日がくる……』  こんなにはっきりとした声を聞いたのは初めてだった。 『我に(つか)えるのだ……』  っていうか誰なんだ? 仕える? 意味がわからない。  それになんで俺が姿もわからない奴に仕えないといけないんだ。 『これから先、お主が守るべき人が現れる……我に仕えると誓うのならば、其方にはそれ相応の力を授けよう……』  その力がないと守れないのか? なんで俺なんだよ? 『必ず其方はその少女と出会うことになる……これは必然だ……だがその先で何が起こるのかは私にも予測が出来ない……だから其方の力を借りたいのだ……』  それは俺にしか出来ないことなのか? 『そうだ……』  じゃあ仕方ないか。あんたに仕えてやるよ。具体的なことを教えてくれよ。 『大丈夫だ……その時が来ればわかる……』  不親切だな。まぁいっか。  そう思った時、手の中に何か硬い物を握らされたように感じた。 『其方に力を与えた……手の中のものは、その力をコントロールするためのもの……肌身離さず持ち歩くのだ……』  その声が止むと、再び元の音の世界に戻ったのだった。
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