最終話 宝物庫

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最終話 宝物庫

――宝物庫―― 「やっとのことで辿り着いたのに……」  台座(だいざ)の上に置かれた、この洞窟のお宝は、なんと木(き)彫(ぼ)りの手形だった。  この洞窟の管理運営団体、ケチにも程がある。余所だと華美(かび)な装飾のなされた剣や盾なのに。  ――帰るとするか。  えれべーたーに乗ってしまえば、あっという間に地上だ。早く、熱い湯船に浸かって、この溜まりに溜まった疲れを洗い流したい。  浸かる前に、アスタリスクの汚れを洗い流す必要はあるが。  本当、今回は黒歴史を作っただけの骨折り損だったな……ん? 何だ、この人一人入れそうな、えすかれーたーと似た、奇妙奇天烈な箱は。張り紙が貼ってあるが。 「……ぜんじどうせんたくき? 『この中に、ズボンやパンツを入れてからぼたんを押せば、どんなに汚れていようがすぐにピカピカの状態にできます』……」 「…………」  こんな便利なものがあるのを、管理運営団体は教えろよ! ズボンとパンツ、99Fに投げ捨てたわ! 凶悪な魔物達がうようよいる地雷(じらい)原(げん)に取りに戻れるか!  ――アイテムだけでなく、ズボンもパンツもダンジョン内で捨てるもんじゃないな……。
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