1人が本棚に入れています
本棚に追加
最終話 宝物庫
――宝物庫――
「やっとのことで辿り着いたのに……」
台座(だいざ)の上に置かれた、この洞窟のお宝は、なんと木(き)彫(ぼ)りの手形だった。
この洞窟の管理運営団体、ケチにも程がある。余所だと華美(かび)な装飾のなされた剣や盾なのに。
――帰るとするか。
えれべーたーに乗ってしまえば、あっという間に地上だ。早く、熱い湯船に浸かって、この溜まりに溜まった疲れを洗い流したい。
浸かる前に、アスタリスクの汚れを洗い流す必要はあるが。
本当、今回は黒歴史を作っただけの骨折り損だったな……ん? 何だ、この人一人入れそうな、えすかれーたーと似た、奇妙奇天烈な箱は。張り紙が貼ってあるが。
「……ぜんじどうせんたくき? 『この中に、ズボンやパンツを入れてからぼたんを押せば、どんなに汚れていようがすぐにピカピカの状態にできます』……」
「…………」
こんな便利なものがあるのを、管理運営団体は教えろよ! ズボンとパンツ、99Fに投げ捨てたわ! 凶悪な魔物達がうようよいる地雷(じらい)原(げん)に取りに戻れるか!
――アイテムだけでなく、ズボンもパンツもダンジョン内で捨てるもんじゃないな……。
最初のコメントを投稿しよう!