みずほ先輩と美術部の不思議な絵

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★ 「みずほ先輩、かつき君、これからよろしくおねがいしまーす!」 盛大に幕を閉じた卒業式の後、結奈は生徒会室にあいさつに来た。 「結奈ちゃん、いらっしゃーい」 「結奈には新学期、勧誘を頑張ってもらうからな」 「うん、まかせといて!」 「しっかし、あのときは凛々しかったよ。愛のキューピッドじゃん」 「まあねぇ~」 どうやら吹っ切れたようで安堵した。 あの後、おふたりの先輩はその場で遠距離恋愛の約束をさせられ、結奈はそれを見て大泣きした。俺は結奈の慰め役となった。 もちろん、絵は三人の手によってめでたく元の姿に戻された。 「でもかつき君ってひとを見る目があるんだね。ちょっとカッコイイなって思っちゃった」 「まあな」 いや、真相を解明できたのはみずほ先輩の推理のおかげだ。宇和野先輩の洞察はすべて、みずほ先輩の入れ知恵だったと後で知って驚いた。 「恋を知る瑞穂だからこそ、ひそかな想いを理解できたのだろうな」、と宇和野先輩は語っていた。 いや待てよ? そのときは聞き流したが、だとするとみずほ先輩は誰かに恋心を……? 疑問を抱くと同時に、結奈が人懐こく腕に絡みついてきた。 「ねえねえ、失恋祝いに甘いタピオカミルクティー飲みたい~」 「よっしゃ、今回だけは俺がおごってやるぞ」 「やった、ふたりで学校帰りにタピタピィ~♪」 「ちょ、ちょっ……それはだめっ、ぜったい!」 突然、みずほ先輩が絶叫して割り込んだ。俺と結奈はふたりして驚き飛び上がる。 「「なんでタピオカがダメなんだっ⁉」」 「そうじゃない、この鈍感バカイケメン男が! こうなったら今日はとことんお説教よ!」 みずほ先輩はまたしても顔を紅潮させ、俺に向かって声を張りあげた。 そのとき、俺は嵐に呑まれる裏山の椎茸の気持ちが理解できた気がした。
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