1.底辺エロ漫画家

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 声を出して泣くなんていつ以来だろう。天木はエロ漫画の山に突っ伏して泣いた。自分は何のために生きている? 担当に見捨てられてまで、こんな仕事―動画配信―を続けて意味があるんだろうか? 「こんな動画バズっても意味ないよぉ……」  天木は涙目でスマホを手に取り《何がおもろいねん》《桃プリのばーか、シコすぎるんよ》と、動画のURLをのっけてツイートした。明日は土曜日。どうせ誰からも連絡は来ない、死にてえ……。   +++  なぜキラキラ社会の本拠地のようなおしゃれカフェに呼び出されているのだろうか。飲食店にあるのは絶対おかしいハンモックにゆられながら、テーブル越しに向かい合う青年をじいっと見上げた。 「お会いできて嬉しいです~」 「えらくまた急でしたけどね」 「善は急げっていうじゃないですか、あんまきぬん先生♡」
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