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そして何より一番わからないのは百の態度。
「天木先生、僕に付き合ってください」
どうして僕は、天下のキラキラエロ漫画家(もうなんかおかしいが)の男に告白されているんだろう。右手を差し出して百は頭を下げている。天木は目を白黒させながら「お断りします……」と腕を伸ばしてしっしと追い払った。が、すぐに手首を強く握られる。
「ちょっと待って、僕真剣なんです。お願いだから考えてくださいよ」
「いや無理ですって」
「そう言わずに」
「本当に勘弁してください」
「ねえ天木先生~」
「おい」
ドスの効いた声が頭上から降ってきた。
「あ、串田さん」
誰。串田と呼ばれた男は百に厳しい視線を飛ばしていた。狼狽える天木をよそに、串田は百を叱責する。そのたびにビール腹がぽよんぽよんと揺れた。
「どうしても企画に参加させたいやつがいて口説いてくる……っていったのはどの口や」
「……俺で~す」
企画ってなに? そんな話はまったく聞いていない。ほらやっぱりお茶なんて嘘じゃないか、と天木は落胆した。売れっ子作家に呼び出されてのこのこ現れた自分がバカだった。
「顔出しってできる?」
「……え?」
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