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鬱々とした気分に劣情をあおられて、天木は眉を寄せる。自分の手がもたらす刺激が脚の中心にあるものを愚直に勃ち上がらせた。
じわじわと天木の身体の中で一番素直な箇所は熱くなっていく。
「……っ、ああ――」
それと同時に、無意味な問いが胸の裡に生まれてきた。
今からもで遅くない、世間一般大人がいうような〝普通〟の仕事に舵を切るべきなのではないか。
それは性欲と一緒くたになってぐるぐると天木のなかを渦巻いた。
(舵を切る、か……)
天木は幸いなことに絵を描くのが得意だった。漫画を作るのは簡単ではないが、好きだった。けれど、売れっ子のハードルは驚くほど高かった。そんな自分が20代も半ばを過ぎてサラリーマンを目指すほうが難しいだろう。
ならば、憎き桃プリから与えられたチャンスを利用してやるしかないのではないか?
くそったれ底辺根性だ。桃プリはこんなみじめなオナニーなどしないだろう。どうせ、バラの浮かぶ猫足バスで女を小脇に抱えて……乳繰り合っているに違いない。
ぎりっと手のひらにいる性器が硬さを増した。
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