1.底辺エロ漫画家

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1.底辺エロ漫画家

 なんでだよ、とエロ漫画家の天木はパソコンモニターを殴りつけた。一瞬だけ画面が乱れる。が、配信サイトの星レビュー1「思ってたのと違う、面白くねえ、喘ぎがへん」が消えることは無かった。最新刊についた初レビューが星1。ちらりと視界に入るデビュー作の星は2.3。好調とは言い難い。それを証明するように、数個のレビューはすべて批判的な内容だった。「金の無駄」なんて感想はお前らの問題であってこっちの責任じゃねえ。ばーか、ばーか。と大声で悪態をついた。近所迷惑? 知るか。この部屋の両隣はばあさんで、20時過ぎには寝ている。  だが、と天木は腕を組んだ。今回のレビューにあった「面白くねえ」はスルー出来ない。言ってしまえば〝図星〟であった。 「……最初からなんかちげーって思ってたんだよなあ」  担当の意見、同じ電子雑誌に掲載している方の作品、いろんな研究を重ねた結果たどり着いたのが今回の新刊「老舗旅館若女将~異世界で溺愛ごはん~」だった。いや、主人公は我ながら可愛く描けたし、料理上手な若女将……が割烹着で云々というのは非常にエロい。
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