第1話 ボーイ・ミーツ・ガール

2/6
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/359ページ
 空から光が舞い落ちる中、少年は呆けていた。  本来、そんなことを考えてる場合ではなかった。  光にまじり、幾人もの男子高校生が落下、地面に激突している。鳴りやまぬ銃声が、空気を貫いて空に残響している。  それでも少年は呆けていた。 目が離せなかった。  目の前の――両手の拳銃を乱射し不良達を吹き飛ばしている、金の長髪を波打たせる少女から。   少女の背からは光があふれる。  あふれた光が銃声と発砲の衝撃により少女の背を離れ、途切れず少年の視界を舞う。  運動場の砂塵の中、見え隠れする少女の真っ青な目が存在感を示す。   やがて光の銃弾に最後の一人が打ち抜かれ、倒れ伏した。  少女は口にくわえていたロリポップキャンディを取り出し、その口で銃の硝煙を吹き消し――少年を見た。 「……何なの、君」 「――言ったっしょ?」  誰何の中。  その圧倒、その美しさに、少年は直感していく。  彼女は紛れもなく―― 「あんたを助けにきた天使。恋のキューピッドちゃんだって」
/359ページ

最初のコメントを投稿しよう!