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空から光が舞い落ちる中、少年は呆けていた。
本来、そんなことを考えてる場合ではなかった。
光にまじり、幾人もの男子高校生が落下、地面に激突している。鳴りやまぬ銃声が、空気を貫いて空に残響している。
それでも少年は呆けていた。
目が離せなかった。
目の前の――両手の拳銃を乱射し不良達を吹き飛ばしている、金の長髪を波打たせる少女から。
少女の背からは光があふれる。
あふれた光が銃声と発砲の衝撃により少女の背を離れ、途切れず少年の視界を舞う。
運動場の砂塵の中、見え隠れする少女の真っ青な目が存在感を示す。
やがて光の銃弾に最後の一人が打ち抜かれ、倒れ伏した。
少女は口にくわえていたロリポップキャンディを取り出し、その口で銃の硝煙を吹き消し――少年を見た。
「……何なの、君」
「――言ったっしょ?」
誰何の中。
その圧倒、その美しさに、少年は直感していく。
彼女は紛れもなく――
「あんたを助けにきた天使。恋のキューピッドちゃんだって」
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