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謎多き事件
俺の両親は7年前に死んだ
突然押し入った強盗に刺され死んだらしい
らしいというのは俺にはその時の記憶がなく
何故かモヤがかかったように思い出せない
医者にはショックのあまり脳が自分を守る為に記憶に蓋をしたと言われたが
どうにも腑に落ちなかった……
俺は強盗に押し入られた日から前の記憶がない、と言っても何も覚えてない訳ではなく友達や今までしてきたことは覚えているが『両親』の記憶が抜け落ちていた。
だからなのか両親を失った今でも寂しく思ったりすることは無い。
幸い両親が俺が大学を卒業するまでの蓄えはあったようでそれで今は暮らしている。
まぁ、満足はしているのだが俺には不思議なことが一つだけあった
両親の記憶が無くなったのが精神的なものだと受け入れるが
家に両親の写真が1枚もないのである
念の為両親の実家に聞いてみだが誰も持っていないという、しかし俺の家には3人で暮らしてきた
洗濯物や食器などはあるのだ……
そして、
1番の謎は両親のことを誰も覚えていないのである。
正確には結婚する前の記憶は存在しているが
結婚してからの記憶が存在していない
つまり『家族』の記憶が欠落しているのだ
幸い、住民票には情報は残っていて
市役所の人が不思議そうにしていたことを覚えている
今は、学校に通い、友達にも恵まれている
しかし、その中で心の中にある
両親のことを知りたいという感情は消せず
休みの日には様々な場所に行き
両親のことを調べ、4年前の事件のことを調べている
まさか、この時はこの事件があの少女との出会いになるとはつゆぞ知らずに……
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