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プロローグ
ーー隣のデスク。
机に突っ伏してため息をついている同期。
髪の毛ボサボサで、目も、死んでる。
・・・ーーそりゃ、そうなるよなぁ。
この、もぬけの殻になっている同期の名は、桜木かけと。
先日、彼女に浮気されて、大失恋した、張本人。
なんでも、1年ちょっと付き合ってたけど、相手が大学生で、こっちは社会人。
・・・お互いすれ違いの生活が続いてたらしい。
桜木くんは、彼女のために仕事を頑張って、残業とかもしてたけど、それが、彼女にとっては会えない寂しさとなって、浮気に発展したんだとか。
・・・・・・ーーー気の毒、すぎる。
こういうとき、気の利いた言葉をかけれたら良かったんだけど・・・残念ながら私、楠あげはは、恋愛経験ゼロがゆえに、全くなにも出来ないでいる。
・・・・・・ーーーごめんね。
私は、ぼーっとしている桜木くんを横目に見ながら、そう思った。
お昼休憩のあと、がらんとした桜木くんのデスクに、冷たい飲み物を置くことくらいしか、私には出来なかった・・・ーー。
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