プロローグ

1/2
174人が本棚に入れています
本棚に追加
/171ページ

プロローグ

 ーー隣のデスク。  机に突っ伏してため息をついている同期。  髪の毛ボサボサで、目も、死んでる。    ・・・ーーそりゃ、そうなるよなぁ。    この、もぬけの殻になっている同期の名は、桜木(さくらぎ)かけと。  先日、彼女に浮気されて、大失恋した、張本人。  なんでも、1年ちょっと付き合ってたけど、相手が大学生で、こっちは社会人。  ・・・お互いすれ違いの生活が続いてたらしい。  桜木くんは、彼女のために仕事を頑張って、残業とかもしてたけど、それが、彼女にとっては会えない寂しさとなって、浮気に発展したんだとか。  ・・・・・・ーーー気の毒、すぎる。    こういうとき、気の利いた言葉をかけれたら良かったんだけど・・・残念ながら私、(くすのき)あげはは、恋愛経験ゼロがゆえに、全くなにも出来ないでいる。  ・・・・・・ーーーごめんね。  私は、ぼーっとしている桜木くんを横目に見ながら、そう思った。  お昼休憩のあと、がらんとした桜木くんのデスクに、冷たい飲み物を置くことくらいしか、私には出来なかった・・・ーー。  
/171ページ

最初のコメントを投稿しよう!