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ーーブロック
一番避けて通りたいものがそれだった。渾身の力を込めて放たれたスパイクに立ち向かうなんて、考えるだけで恐ろしい。
「ヒロがチームの鉄壁になれば、間違いなくレギュラー取れる。それでちょっと須王に手伝ってもらおうと思って」
亮君が目配せした先にいる須王君は、小さく頷いた。
「じゃあまずブロックの基本動作から振り返ってみよう」
言葉を挟む隙もない。私はいつもそうだ。亮君といい、御影さんといい、反論する間もなく流されてしまう。
壁に向かって三人並び、ジャンプして壁を両手に押し付ける。
「ヒロ! もっと真っ直ぐ跳んで!」
「踵をしっかりつけて、お尻まで使って!」
「腕はまっすぐ、手を大きく広げて!」
何度も何度もジャンプして、足に力が入らなくなってきた。清々しい土曜日の朝、コンクリートにスパルタ亮君の声が響く。それに呼応して、死にかけたカエルのように跳ぶ私。
そして遂にその時はやってきた。
「よし、じゃあ、須王のアタックを止めてみよう」
いや、無理でしょ! 普通のアタックも止められないのに、いきなり須王君のアタックなんて。
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