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須王君の大きな手のひらが私に向けられた。私は釣られるように、右手の平を合わせた。大きな掌は硬い。
「ちょっと、やってみる?」
「うん」
私たちは立って、向かい合った。パチン、と両手でハイタッチする。
「もうちょっと強く」パチン! 圧に少しよろけたけれど、遊んでるみたいで楽しい。
「今度はジャンプして」グッと跳んでからパチン!
「少し体離して。腕だけでトンネル作る感じ」パチン!
「おっ、なんかいい感じで練習できてるじゃん」
トイレから戻ってきた亮君が、私たちの様子に声を弾ませた。
「もっかいやってみる?」
亮君が上げたトスに、須王君が軽く跳ぶ。私もハイタッチに遅れないようにジャンプした。
軽く打ってくれたアタック。ボールは私の手のトンネルに弾かれ、地面を打った。
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