レギュラー

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「はぁ? アンタがブロック?」  鼻でせせら笑う横山さんたち三人。出した言葉は元に戻らない。けれど、不安はなかった。一度だけ、須王君の本気のアタックを止めたことがある。あの時の青あざは勲章だ。彼より上手い人は女子チームにいない。 「そうと決まったら早くやろ。私がトス上げるけん」  御影さんがさっさとボールを取り、横山さんを見て二度ドリブルした。横山さんが不服そうに舌打ちして、ポジションに着く。  私はネットから十分な距離を持ち、御影さんが上げたきれいなトスの方向を見極めた。アタッカーから目を逸らさない。コースを見極める。横山さんのジャンプに合わせて、踵からお尻まで使ってグッと跳んだ。  私の右手に塞がれたボールは、弧を描いて相手コート内に落ちた。  ボールが床を打ち付ける音が体育館に響き渡り、女子チームの全員がポカンと口を開けた。 「いいぞ、ヒロ!」 「もう一本!」  男子チームからの声に、私の宣言の根拠を知ったチームメイトたち。 「ほら、次!」  御影さんの檄が飛んだ。次々と挑戦してくるチームメイトたちのボールを、ひとつもこっちのコートに落とさなかった。唯一、御影さんのアタックだけを吸い込んでしまった。 「まだ甘いやん」  一蹴されてしまったけれど、私はレギュラー入りを認められた。
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