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「御影!」
吉野さんのトスに応え、御影さんの体が舞う。
練習試合を組む余裕がなく、戦績もなく、ノーマークだった私たち。
アウトサイドヒッター(OH)の御影さんの活躍で点を積み重ねていく。そして【攻撃】に特化したオポジットには横山さん。攻撃を続ける気力と体力が求められるポジションは彼女に相応しい。
髪を短く切った私は、ベンチで監督と戦況を見守っていた。相手の攻撃の要は4番のOH。力強いスパイクが激しくコートに打ちつけられる。
御影さんとの打ち合いという感じだ。あれを止めれば......。
私の握り締めた拳を見て、監督が生真面目な顔で言った。
「止められるか?」
「はい!」
「よし」
立ち上がった私が身につけている赤いユニフォームの背番号は「1」。その下に横線が入っている。それがキャプテンマークだ。
私は一年生と交代してコートに入った。
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