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勝負は拮抗し、取られたら取り返すを繰り返した。私たちは、地区ベスト4まで入る相手チームに互角の戦いができていた。
「横山、止められとるやん。タイミング外さんと」
「うるさいわね! ちょっと疲れてるのよ」
攻撃の要の二人がなんとか食らいついてくれている。みんな息が上がっているけど、なんとかしたい気持ちは一緒だった。
第5セットまで試合はもつれ込んだ。ほとんどのセットでデュースが続き、最終セットの今、14-14。
「ちょっと相手をビックリさせるようなことせんと......そうだ」
御影さんが私に耳打ちし、同時に審判の笛が鳴った。驚く余裕もなく私は前を向いた。
サーブが入って、飯盛さんが御影さんに返す。彼女のトスとほぼ同時に跳び、横山さんに届く前にアタックを相手コートに打ち込んだ。
笛が鳴る。誰も反応出来なかったようだ。
「いいよ! キャプテン」
もう何度目か分からないハイタッチ。あと1点。拭っても流れる滝のような汗を腕で拭い、私はネット前で両手を上げた。
これまでピンチになると必ず相手エースが点を取りにきた。その時のブロックの成功率は五分五分だった。
今回も多分、私と彼女の勝負だ。
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