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「取り返すよ!」
彼女の気迫に、一瞬怯んだ。相手チームの息が揃って、また点が横並びになりそうな恐れに息を呑む。
笛の音に、全員の集中力が高まる。
中空に上がるボール。誰も声を出せずに見守る中、床を擦るシューズの音と、レシーブ音、「はい!」とトスの意志を表すセッターの声。
ネットを挟んで彼女の前にいるのは御影さん。ツーアタックはない。
十分な助走をつけて、コートの後ろから走り込んできたエースが、高く飛び上がった。超強力なバックアタック。絶対に打ち抜くという決意が漲る目。
「キャプテン!」
チームメイトの悲鳴を背に跳び上がり、両手をグンと伸ばした。隣には御影さんと横山さん。3枚のブロック。
スパイクを打つ激しい音とほぼ同時に、それは私の手に当たった。くぐもった柔らかいブロック音。
衝撃に目を瞑ることなく、ボールの行方を追う。それはーー
ライン上に落ちた......!
線審が旗でボールインを示す。ゲームセットと同時に私たちはコート内で代わる代わるハイタッチした。
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