ハイタッチ！

新しいキャプテン

　みんなの練習の邪魔にならないように、できる限り体育館の壁に沿って走る私と、1年生3人。
　今日はネットを張って練習できる貴重な日。複数の部活動で使うため、体育館を融通しあっている。

　蒸し暑いコートでは、レギュラーの子たちが声を張り上げながらフォーメーション確認をしている。一方私を含めた補欠は、体育館外の日と同様に壁際をぐるぐる走り、その後はボール拾いだ。

『キャプテン』かぁ。

　名ばかりもいいところだ。私なんて、背が高いから声かけられて、無理に入部させられただけの「うどの大木」なのに。
　私に面倒なことを押し付けようと、三年生が抜けたあとの同学年部員(あの子たち)が共謀したに違いない。

　2年生になって、ようやくサーブがまともに入るようになっただけの私は......。
　今日から私は、女子バレーボール部のキャプテンになった。