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「ヒロ!」
夕陽のきつい光線を浴びながら帰っていると、後ろから聞き慣れた声。私に並んだのは、幼馴染の亮君。
「ヒロがキャプテンになったって聞いて、慌てて追いかけてきた。それってマジなの」
「本当だよ。しかも退部届け出しても顧問に断られた」
隣から同情の視線を感じる。私は182センチ。亮くんは178センチ。でも私は昔から出来るだけ小さくいようと姿勢が悪いから、目線の高さは同じだった。
「亮君はいいよね。上手いもん」
目の端に滲んだ涙を、手のひらで拭った。
「またヒロはすぐ悲観的になる」
「だって、やりたくもないのにやらされてさ」
「監督に言われたのか?」
「そんなわけないでしょ。無記名投票だよ」
だよな、と亮君は苦笑いした。
「けどさ、なったものは仕方ないじゃん。出来ることやろう。俺、最近いい動画見つけてさ」
小さい頃からなにかと世話焼きの亮君。私にグズグズ泣く暇も与えず、スマホの画面を私に見せてきた。バレーボール上達の方法を、実演付きで録ってあるものだ。
「飯食ったらヒロん家行くから。一緒に『キャプテン』頑張ろ」
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