新しいキャプテン

3/5

38人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ
「ヒロ!」  夕陽のきつい光線を浴びながら帰っていると、後ろから聞き慣れた声。私に並んだのは、幼馴染の(りょう)君。 「ヒロがキャプテンになったって聞いて、慌てて追いかけてきた。それってマジなの」 「本当だよ。しかも退部届け出しても顧問に断られた」  隣から同情の視線を感じる。私は182センチ。亮くんは178センチ。でも私は昔から出来るだけ小さくいようと姿勢が悪いから、目線の高さは同じだった。 「亮君はいいよね。上手いもん」  目の端に滲んだ涙を、手のひらで拭った。 「またヒロはすぐ悲観的になる」 「だって、やりたくもないのにやらされてさ」 「監督に言われたのか?」 「そんなわけないでしょ。無記名投票だよ」  だよな、と亮君は苦笑いした。 「けどさ、なったものは仕方ないじゃん。出来ることやろう。俺、最近いい動画見つけてさ」  小さい頃からなにかと世話焼きの亮君。私にグズグズ泣く暇も与えず、スマホの画面を私に見せてきた。バレーボール上達の方法を、実演付きで録ってあるものだ。 「飯食ったらヒロん()行くから。一緒に『キャプテン』頑張ろ」
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

38人が本棚に入れています
本棚に追加