新しいキャプテン

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*** 「ど、どうかな......」  重く垂れ込めた沈黙。耐えきれずに尋ねた声が小さすぎたのか。2年生は私を除いた4人、1年生は5人。みんな立ったまま私が配ったプリントを見つめ、誰一人口を開かなかった。  昨日、亮君と一緒に幾つも動画を見て、体育館が使えない日にできる練習メニューを考えた。グラウンドの隅で、男子部員たちは早速そのメニューを始めている。  本当ならまずは顧問に相談するところだけど、今日に限って職員会議で遅れるとのこと。 「まあ、やってみようか。せっかく『キャプテン』が考えてきたんだし」  リーダー格の横山さんが低い声で言った。彼女がそう言わないと始まらないことをみんな知っている。 「......じゃあ、お願いします」と首をすくめるように頭を下げると、横山さんの取り巻きの一人が私の右肩を押した。 「山下さんは走ってきなよ。これ、3人1組じゃん。余りが出るっしょ」 「あ、はい。そうですね」  願ったり叶ったり。これで今日も走ればいいだけ。除け者はいつものことだ。 「どうせこのメニュー、山下さんにはできそうにないし」  横山さんの冷笑はすぐにチーム全体に広がり、一年生たちまで笑っている。気温は暑く、グラウンドの熱に灼かれそうなのに、背中がヒヤリとした。  早くこの場を離れたい。震える足でその場を去ろうとした時...... 「ちょっと、待ち」  
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