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「そっかあ。ヒロ、レギュラーダメだったか」
亮君が溜め息混じりに頭を掻いた。カッターシャツを捲り上げた小麦色の腕は筋肉で硬そうだ。
「まだ下手だし。仕方ないよ」
「うまくなったよ。惜しいところまでいったと思う」
亮君の真っ直ぐな目に見つめられ、不意に歩けなくなってしまった。本当の気持ちが剥き出しにされて、突然涙が溢れた。
「......悔しい。レギュラー、なりたかった」
「その気持ちって大事だよな」
止まってしまった歩みを進め、私たちはとぼとぼ帰宅した。
「そうだ、ヒロ」
あれから黙っていた亮君が、少し声を張り、隣の家の扉を開けようとする私に呼びかけた。
「誰にもやれない技を身につければいいんだよ。ヒロにしかできないやつを!」
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