#1 TAKUBO

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「ツートップの一人? もう一人いるんですか?」 「もう一人は、婦人部門の王子(プリンス)よ」 「婦人部門の『ぷりんす』?」 * 「エクボ~、また上層部に手柄をアピールしたらしいじゃん」  賑わい始めた社員食堂にて。  早々に昼食を終えた笑に話しかけたのは、同期一の出世頭である荒尾(アラオ)(ヒビキ)だった。 「田窪です。アピールなんてしてません。風評被害で訴えますよ」 「女性管理職コースの最年少記録まっしぐらじゃん。褒めてんだよ」  頭一つ背の高い響から頭頂部を撫でられそうになった笑は、拳を避けるボクサーのように顔を傾け防衛する。 「触らないでください。セクハラで訴えますよ」 「何でもかんでも『訴える』って言うなよ、胸や尻を撫でたわけじゃあるまいし。ダチョウ倶楽部かよ」 「その考えが、すでにセクハラ……」  説教しかけるや、笑の背後から幾つもの黄色い声が飛んできた。 「荒尾王子〜。こっちで一緒に食べましょお~」  婦人服フロアの店子(テナント)ブランドに派遣されている、年配(ベテラン)マネキンたちだ。 「すぐに参りまーす……しょうがない、オバチャンたちを撫でとくか」
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