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「え?なんとか出来るのか?」
「術は小生の分野では無いが…まぁ、出来なくはないな」
「ありがとうヴァニス」
「フフっ。小生の妻の頼みなれば容易い事」
俺が嬉しそうに言えばヴァニスはそう返してきて、二人がピリついたのを感じて口元を歪ませた。うわぁ…確信犯じゃん…二人をあまり煽るなよ。
話し合っていれば、急にヴァニスの腕の中のリヒトがぐずり始め泣き出してしまった。俺が困惑していればヴァニスはリヒトを連れてきてくれて、リヒトは俺の胸に服の上から吸いつこうとしたので服をずらしてやればちゅぱちゅぱ吸い始めた。
「お前は良い子に育つんだぞ…?」
あの光景が脳裏に過ぎりポツリと呟いた。女性を用済みだからと玩具にするような男には育って欲しくない…
俺…マジで母親になってるんだな…飲みながら眠そうにしているリヒトの頬に触れる。そのまま寝てしまったのでヴァニスに渡せば背中を叩いてゲップさせてくれている。
服を正して二人を見れば視線を勢い良く逸らされ、首を傾げたがあぁと納得した。二人も飲みたいと思ったんだろうな…子供相手に嫉妬すんなよ…
次の日に俺達は小さな船に乗りアッシュが手漕ぎで進めてゆく。ヴァニスとリヒトが見送ってくれたがリヒトは小さくなってゆく俺を見て泣きそうになったがヴァニスがリヒトの口を塞いだ。俺は力の限り二人に手を振り、しばらくすれば姿が見えなくなって行った。
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