ここってどんなとこだよ、この三十路野郎

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 次の質問です。  ※倉橋 さんからの質問。 ・『グレゴリオさんは作者の分身ですか!【倉】』  ……グレゴリオ・ルヴォーは特定の誰かの分身というわけではありません。  敢えて言うのであれば、すべての人類の現身(うつしみ)であり、〝真実〟という水鏡のなかの存在であります。  ふつうの人間には、グレゴリオ・ルヴォーという存在を特定はできません。 『〝真実〟という水鏡』と表現したように、彼の姿は判然としないものなのです。  真実とは、常に漠然とした靄のなかに隠されているものであり、「真実を見た」とのたまう人々のほとんどは、自分の手が届くものが真実だと信じ込む現実主義という怠惰の顕れだと断じます。  現実主義という〝思想〟、そして人間一人ひとりの個々が持つ、価値観・エゴなど、人間が人間であるゆえに持ってしまう〝業〟のあらゆるものを排したその先にこそ、純粋な真実があるものだと思います。  そうした業が、真実という水鏡に数多の波紋をつくり、本来映るべき真実を攪拌してしまっているのです。  グレゴリオ・ルヴォ―とは、我々人類が業を捨て去った先に見えるひとつの真実なのです。  倉橋さんが、心を開放し、固定観念を捨て去り、純心な目で鏡を見ることができれば、きっとそこにはグレゴリオ・ルヴォ―が映るはずです。  そして、大きな声では言えない変な性癖に目覚めていることでしょう。  ……要約すると、『僕の分身ではないです。僕はもっとキモい』です。
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