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「分かりました。明日9時にこちらからご連絡致しますのでよろしくお願いいたします。失礼します」 夕方、終業時間に鳴った電話に対応して担当の先生にテルメモメールを送る。 ここは‘後藤税理士事務所’という税理士事務所で、名前通り後藤先生の事務所だが他にも先生はいる。 税理士になるには、税理士試験に合格し2年以上の実務経験を積む、税務署で23年以上勤務し指定条件を満たす、公認会計士または弁護士の資格を取得する、という3つの方法がある。一般的なのが‘税理士試験に合格し2年以上の実務経験を積む’だろう。 私はこの事務所に勤続6年だが、その間常々2、3人の若い先生が入れ替わりつつも在籍している。そして時々‘この人大丈夫?’と他の事務員2人が言い合う頼りないメンズがいるわけで…私はそれに癒されるのだ。 「あの先生、白井さんが担当してくれる?」 「いいですよ」 「…ほんと変わってるよね…私たちは助かるけど…」 「変わってます?完璧そうに見えて、こんなミミズの這ったような文字でメモを書くなんて‘先生も人間だなぁ’って思って安心するんですよね」 「でも‘僕も…読めません…’ってさっきも慌ててたわよ」 「それも尚更いいじゃないですか。慌てているってことは自分の非を認めたり、苦手なことが苦手と分かっているということだと思います。チャーミングですよね…人を惹き付けるってことです」
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