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 昼休みも終りがけ。いつものように立ち寄ったコンビニの有線から聞こえてきた、聞き慣れた曲。 『Fake and Real』だ。  ここ何日かエンドレスで流しているアルバムの中の曲を思いがけず耳にして、つい頬が緩んでしまう。 「なに笑ってんだ? 加藤」  隣で雑誌をめくっていた同僚が将也の脇を肘で小突く。 「あ、うん、別に。この曲知っとる?」 「これ? ノアールなんとかってヤツだろ。こないだテレビで見たぜ。好きなの?」 「まぁ……うん」  何と答えたものか、考えながら軽く頷く。 「ふーん。上手いこた上手いかね。ギターとかなんか」 「ああ、上手いんや?」 「お前何聞いてんだ?」  彼は不思議がりながらドリンクケースへと向かう。将也はすっかり覚えてしまった歌詞を口の中で繰り返しながら、手に取った商品をレジカウンターへ置いた。  将也が住み慣れた大阪を離れ、ここ東京都内に移り住んでから、4年程になるだろうか。簡単にいえば、転勤だった。埼玉県内に新設される系列会社への出向を命じられたのだ。
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