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 そして、慶次は就職の為に大阪に戻って来た。同時期に、東京の知人に誘われてノアールラムールに加入。忙しく東京と大阪を行き来しているうちに、メジャーデビューが決定。彼の上京。将也の上京。メジャーでCDが出る頃には一緒に住んでいた。  どこからが恋人なのか。当の将也にもさっぱりわからない。 「わからないって、どういうこと?」  大雑把な成り行きを聞いた後、カエデはもう一度将也に問い質す。将也は、返答に困った。判断など付かないのだ。  それどころか、「どこから」など追及したこともない。 「この日から付き合ってますっていうの、ない?」  興味本位だったカエデの目が、幾らか真剣なものに変わる。 「付き合おうって話しされたりしなかった?」 「されたこと、ないですねぇ…」  はっきりしない記憶を辿って答える。 「じゃ、ケイちゃんのどの辺りが好き?」 「え? ええ?」  そのまま考え込む。が、全く思い付かない。強いてあげるとすれば。 「ケイちゃんの、ケイちゃんなとこ」  照れつつ、答える。そうとしか言えないのだ。 「…わかんねぇよ」  カエデは、もう一本取り出した煙草を指で回しながら、ぽつりと呟く。
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