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 普通なら誰も歓迎しない話だった。将也のいた大阪本社がやはりメインであったし、行ったところで昇給も、戻って来ての昇進も約束されていない。  しかし、出世などに全く興味のない将也には断る理由も全く無かったので、言われるままに出向してきた。  それに、いい機会かもしれないと思える理由はあった。  同時期に、高校以来の友人が上京すると言い出したのだ。 「上京? 何しに行くん?」  全くピンと来ない将也が首を傾げて尋ねると、彼はにっこり笑って答えた。 「決まったんや。メジャーデビュー」  その彼の名は、南慶次という。職業、ギタリスト。
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