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「あ、別に気ぃ遣わないでよ。それよりひょっとして、飯の支度してた?」 「あ」  慌ててレンジを覗くと、少し冷め始めたカレーが取り残されている。それを取り出し、コーラと一緒に持って来て座る。 「……食事、させてもうてもええですか?」  一応来客の手前だ。許しを請うと、カエデはコーラを受け取りかけたまま笑い出した。 「え? 俺、何かおかしいこと言いました?」 「や、別に、あんまり律義だから」 「そうですかぁ……?」  なぜ笑われているのか良くわからないまま、言葉をにごす。 「うん、ごめん。どうぞ食べて下さい。押し掛けたのは俺だしさ」 「ほんなら、遠慮なく。いただきます」  カエデはまだくすくすと笑っている。  別段、美味しくもないが食べ慣れてしまったカレーを口に運びながら、手近な雑誌をめくる彼を横目で見る。写真と同じ筈だ、と何度も確認しながら。  確かに、慶次と一緒に様々な写真に収まっている人だと思う。慶次のバンド、ノアールラムールのメンバーで間違いないだろう。ドラムではなかっただろうか。
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