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 写真でもほとんどノーメイクに近い彼なので、何とか判断が付くのだ。唯一、幾度か会ったことのあるベースのトールは、どうも写真と一致しなかった。差が大きいわけではないのだろうが、「化粧した男」というものを見慣れない人間には、なかなかピンと来ない。  メンバーである、ということは、きっと慶次と付き合いが長いはずだ。  それを思い付くと、少し気になる。自分の知らない慶次が、他人の目にどう映っているのかが。 「カエデ、さん」 「うん?」  雑誌から顔を上げ、カエデはこちらを振り向く。 「ケイちゃんて…どんなです?」 「どんなって?」 「あ、だから、バンドやってる時て、どんな感じです?」 「ああ」  彼は頷き、少し考える。 「裏表、ない奴だろ?」  そう言うとにやりと笑って将也を見る。 「……? 何ですか?」  意味ありげな笑みに、思わず焦って正座をし直してしまう。慶次との関係を後ろめたいとは思っていないけれど、単純に照れくさいものだから。 「自分が見てない時のケイちゃんの様子が気になるってことなんだろ?」
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